「物語の中の物語って、物語の中で現実になることあるの?」
「うーん、言ってることがよく分からないなぁ。。。」
伊坂幸太郎さんのお話は、いつも奇想天外で、身も蓋もなく振り回されて、でも、ちゃんと一周回って帰って来れる、そんなお話ばかりです。
何冊も読んできましたが、今回の『ペッパーズ・ゴースト』も凄かったなぁ。
『ペッパーズ・ゴースト』の魅力
今回の物語の主人公は、誰かの飛沫(唾液?)を浴びることで、その主の少し先の未来が見えてしまうちょっとした超能力者の学校の先生という設定です。
彼の物語と、この主人公の教え子が描く猫が虐待される様子を楽しんでいた者たちを次々と粛清していく明るいアメショーと心配性のロシアンブルという二人のハンターの物語がパラレルに進んでいきます、中盤までは。
「あ〜、きた、きた。」と感じたのが中盤。
なんと、この二つの物語が中盤から重なってくるんです。
主人公の物語に、物語の中の物語として存在していたハンターの二人が唐突に現れるのです。
そこからは、もうジェットコースターのように振り回されます。
伊坂幸太郎のエンターテインメント
伊坂幸太郎さんの作品は、巻頭の人物紹介すらネタにしてしまうほどのおふざけもあり、「これこそ、伊坂作品!!!」と拍手ものの展開でした。『ペッパーズ・ゴースト』は、エンターテイメントと呼ぶにふさわしい一冊で、後味がスッキリして楽しめます。
私は伊坂さんの本で、初めて手に取ったのが『アヒルと鴨のコインロッカー』でした。
もう何年前のことなのか、覚えていませんが、どのお話も、こんなに振り回されても、今回と同じく後味がスッキリしていて楽しめるのが魅力です。
時代を切る文学的センスが凄すぎる。
伊坂幸太郎さんの作品は、エンターテインメント性だけでなく、時代を切るセンスが光っています。
彼の物語はしばしば哲学的なテーマや深いメッセージを含んでおり、読む者に考えさせられることが多いです。
例えば、「飛沫で他人の未来に感染」なんて、コロナ禍のことを思うと考えさせられる設定ですよね
なので、『ペッパーズ・ゴースト』も例外ではありません。超能力者の能力を通じて、未来や運命についての考察が織り交ぜられてありました。
彼のキャラクターは魅力的で、物語は予測不可能な展開で私たちを驚かせます。
作品を通じて、普段の日常の中にひょっとしたらあんなことや、こんなことがと、つい思いを巡らせていまいます。
伊坂幸太郎さんの作品を手に取って、生活の裏側にひょっとするとあるかもしれない驚きと楽しみを見つけてみてはいかがでしょうか?
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