「この物語は何を語ってくれてるの?」
「人は、願うことで在るべきところに身を置くことができるってことかな。」
村上春樹さんの2023年4月に発売されたこちらの『街とその不確かな壁』。
図書館ですぐに予約したのですが、順番は待てど暮らせど回ってきません。
「もう無理だ。待てない!」と、とうとう書店で購入したのが、8月のお盆を過ぎた頃でした。
しばらくして、ページをめくり始め、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で描かれた街と同じ街の様子をとても懐かしく感じました。
後から分かったことなのですが、この作品は、1980年に『街と、その不確かな壁』という中編小説として描かれたものに対する『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』とは違うアプローチとしての作品だったんですね。
2つの世界の探求
物語の中には、現実世界と壁の中の街という2つの異なる世界を主人公が行き来する不思議な世界が広がっています。
主人公が過去に経験した愛する人との唐突な離別は、今ままでの村上春樹さんの長編の中でも描かれてきました。
しかし、今回の『街とその不確かな壁』は、その唐突な離別から主人公が確実に次のステップに進むところが明確に描かれています。
しかも、現実世界と壁の中の街という2つの異なる次元が絡み合って、魅力的に物語が展開されます。
前回、壁に囲まれた街を描いた『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』よりも今回の方が私にはその次のステップを踏んだ瞬間をより感じることができました。
未来への旅
『街とその不確かな壁』が私たちにもたらす教訓は、私たちの人生の旅は決して終わらないということです。
そして、その場所には強く願うことで近づける時とそうでない時の2つのパターンがあること。
最後に在るべき場所は、時間と共に変化する場合があること。
この3点かなぁと今は感じています。
あと何回、この物語を読み返すことになるのか分かりませんが、再び手に取ること間違いなしの一冊です。
この物語が提供する洞察を通じて、自分自身の旅を振り返り、未来への希望を見つけ出すことができると感じました。
この本が私たちにもたらす可能性について、一緒に考えてみましょう。
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