「ダメなところは絶対に直さないとダメ?」
「何もかも直さないといけないってことはない。補い合いながら暮らせるってこともあるよ。」
越智月子さんの本、初めて手に取りました。『鎌倉駅徒歩8分、空室あり』、とてもよ」かったです。
今年に初めて読んだ本の中で、今のところ一番の一冊になりました。
では、その魅力をご紹介します。
共鳴の鎌倉シェアハウス
鎌倉の片隅に佇むカフェで、香良は父の形見を胸に一人で営む日々を送っていました。
そんな彼女の元に現れたのは、親友の三樹子。彼女の励ましと笑顔が、香良の心に優しさを運び込んできました。
共に過ごす時間が増えてからであれば普通の話なのですが、物語が始まってすぐ三樹子の提案(少々強引な。)から、ふたりはシェアハウスを始めることを決断します。
繋がる心
シェアハウスには個性豊かな仲間たちが集まります。
シェアハウスを始めた2人に加えて、ツンという犬と共に現れた里子、香良の叔父の焙煎所で働くことになったあゆみ、そして、唯一の70代の千恵子の5人が一つ屋根の下に暮らすことになりました。
互いに違う生き方を持つ5人が、一つの屋根の下で一緒に生活することには、当たり前ですがいいことばかりなはずがありません。。
しかし、ぶつかり合いながら、時には気持ちを押し込めてぶつかることを避けながら、お互いの大切な部分に気付き、少しずつ絆が芽生えていきます。
彼らは個々の弱さや欠点を理解し合いながら、温かく、ちょっとずつ、支え合っていくのです。
まとめ
物語の結末では、再び香良の視点が戻ります。
彼女は心に抱えた重荷と向き合い、その様子から彼女の成長が感じられました。
シェアハウスの仲間たちとの絆が、彼女に成長をもたらしてくれたのでしょう。
幸せとは、完璧さではなく、心を通わせる共鳴の中にあるといえます。
鎌倉の風景と共に、5人の心の交流が描かれるこの物語は、色んな人に響く要素がたくさん詰まっています。
ダメなところは、なおさなくても、認めてもらったり、見て見ぬふりをする優しさがあったりしたら、もっと生きやすくなれると思える一冊でした。
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